J

Jについて。

Jは私と同じ今学期から新しく学校にやってきた、いたずらが好きで喧嘩っぱやい、でも根が優しい14歳(推定)の男の子。

小さい時に大きな火傷を負い、右手は不自由なく使えるけれど、左手は肘くらいの長さしかなく、左半身にまざまざとした火傷の跡と身体に障害が残ってしまった。

左手には特にコンプレックスがあるようで、隠そうとしたり人前で使いたくないようだった。

最初の数日は、Jが他の子にちょっかいを出すのを止めながら、他のSpecial unitの子ども達と比べたら明らかに生活力や理解力の高いJを見て、「なぜRegular classじゃなくて、Special unitなのだろう?」と思っていた。

でもその後分かったのは、Jはこれまで一度も学校に行った事がなかったということ。

KenyaではJのように教育を受けていない子ども達がまだまだ沢山いる。

初等教育8年(Primary school)と中等教育4年(Secondary school)は義務教育で無償化されているとはいえ、制服代や昼食代などの諸経費が払えなかったり、近くに学校がない等の様々な理由で親が子どもを学校へやれないケースが多いらしい。

Jのケースの理由は知らないが、これまで学校に行けなかったことで、もともと知的障害はないが学力遅滞が生じてしまったのだろう。

これまでの生活経験から20までの数字がカウントできても、「1」すら読めないJ。

丸すら書けないJ。

なので、まずはSpecial unitで基礎学習を積み、Regular classに移る事を目指そうという、いきさつだった。

 

Special unitを二分割してから、Jは私のクラスの生徒ではなくなってしまったけれど、なんだか気になる生徒の一人だった。

Jも何かとかまって欲しそうに、わざと私の前で他の子を殴ったり、食事してる横でほうきで掃除を始めたり、めんどくさいことを次から次へとしてくれていた。

そしていつも「ごめんなさい」と言えと言うのだが、絶対言わない。

 

昼休憩はいつも教材作りに時間をあてている私は、今日は日本から持って来てもらった鳴子についていたタグを再利用し、J用の教材をこしらえていた。

数字カードを紐に通していくだけの簡単なものだけど、数字が全く読めず、左手が自由に使えないJにはなかなかの課題。

作っている途中でやってきたJは、自分のためのものだと分かると、なんとも嬉しそうに照れて笑ってくれた。

この時点で内心かなり嬉しい私。

「左手もJの大事な手なんだから、こっちも使う練習しよう。」と話すと、ひねくれ者が「うん」とうなずいた。

さらに喜ぶ私。

そして私が作るのを手伝ってくれ、早速課題に挑戦していた。

「に、、、に、、、に!」と思い切り4とか8とか選んでたけど、楽しそうにしていたJ。

その様子を微笑ましく眺めていたら、空気が読めない他の先生が「昼休みなんだから外で遊べ!うるさくて寝れないわ!」とJを含め教室にいた生徒達を閉め出してしまった。

あれまあ。

シャツの襟をつかまれて連れ出される途中にJが「ティーチャータエコ」と呼ぶので見ると・・・。

あのJが、胸に手を当てて“ごめんなさい”のサインを示していた。

 

今日のちょっと嬉しい話でした。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。