この学校に来て子ども達に会ってから早8ヶ月だか9ヶ月。
予想もできない事が次々起こるケニアの学校事情。
実は今タームが始まってすぐにまた障害児学級から教員がひとり減らされ、ついに約30の生徒に対して私ともう一人の同僚の2人だけになってしまった。
私は今まで見て来たクラスを離れ、もうひとつのクラスを担任している。
ないものやできないこと、不満を挙げだしたらきりがない。
けれどそんな中にいると自然と、現状の中で何ができるか、限られた自分の能力や経験から何を還元できるか、本当に必要とされていることはなにか、クリアに考えられることも多い。
子ども達が、もっと色んなものを見てそれに触れ、自分の生きる世界を知り、そしてそこから学ぶチャンスを得られるようにしたい。
簡単に言うと、子ども達の経験拡大とソーシャルスキル獲得を目指した取り組みを定着させる事。
それがいくつか据えている目標の中の、ひとつ。
そのためにこれまでは時間をかけて、いろんな方向から地固めをしていたけれど、今日やっと子ども達と一緒に一歩を踏み出せた。
したことは、ただの買い物学習。
学校から一番近いDuka(小さな売店)に、歩いて行き、それぞれが5kshの食べたいお菓子を買うという学習。
自分でも笑ってしまう程聞こえは簡単なのに、ここまでこぎつけるのになかなか時間がかかった。
校長先生や同僚の理解と協力を得ること。
取り組みのための資金の工面方法。
継続性のある活動にするために、たくさん根をはること。
安全面の配慮。
など、もろもろ・・・。
でもターム期間中に狭い学校の敷地からほぼ出られない寮の子ども達の、外に出た時の笑顔と生き生きした顔。
ぎゅっと握りしめたコインを、店員さんに渡して受け取ってもらった時の、ほっとした子の顔。
初めて自分で買ったお菓子を、食べないと言って一日ずっと眺めていた子。
門を出たとたんに走り出したらどうしようと思っていた子は、外に出ている間ずっと私の手をきつく握っていた。
自分のしようとしていることが本当に必要とされているのか、いくらかの不安があったけれど、答えをくれたのはやっぱり子ども達だった。
そして地域の人たちも、子ども達のことをまじまじと目をそらさずによく見てくれていた。
初めて見る子ども達の姿に、同僚が大興奮して喜んでいた。
小さいけれど、貴重な一歩。
今日だけは嬉しさの余韻にひたる。
これからしばらく、セントピーターズスクールは毎週水曜日がお買い物デー。